取り戻せ語彙力

ちかごろ語彙力の低下を感じるためにリハビリと修行と暇つぶしと現実逃避のためにやってみんとしてするなり

映画「ドニーダーコ」を観た。銀色のウサギってなんなの?作文しているうちに気づいた。

内容に触れたむしろ物語の根幹にかかわるネタバレ書くから気になる人は読まないでほしいけど暇だったら名前だけでも覚えていってください。

ドニーダーコを観た。

ドニー・ダーコ Blu-ray

ドニー・ダーコ Blu-ray

 

 

 

公開当時の紹介番組で主演っぽい男の子が「最近セックスのことばかり考えている」としゃべるシーンが切り抜かれていて、僕自身も多感な時期だったので「なんかエロい映画なのかな?」と衝撃を受けたのだった。
それ以上に印象深く残っているのがジャケットにも使われている“銀色のウサギ”だ。
当時の技術的に頑張った結果なのか不気味さを表現したかったのか、体毛が銀色のウサギの着ぐるみで顔についてはジャケットの通りにドロヘドロの恵比寿みたいな銀のマスクをしている。
絵面の強烈さがすごくて、一度も観ていなかったのに先述のシーンとともに銀色のうさぎのビジュアルはよく思い出していた。

で、だ。
42インチモニタにサウンドバーを設置して映画視聴環境を自己満足の世界で昇華させた僕はなんか映画でも見ようか…とAmazonプライムをパラパラめくったり、頭の中に思い浮かぶ映画タイトルをバラバラ検索していて、ドニーダーコにたどり着いたわけだ。

映画の公開は2001年でそのころの僕はというと、中学生くらいでまさに一皮むけたとか毛が生えた程度とかいった少年で、映画館に行くと習慣が家族も含めてそんなになかったし、存在を知りつつも観に行くとはできなかった作品だ。

その後年を取って、TSUTAYAなんかのレンタルビデオ屋も発展していたけども、そこは世界の狭い田舎者。
家族にも映画をレンタルするという習慣はなく、友人にもそういった話をしてくれる人はいなくて、興味は持ちつつもレンタルショップというのは利用しなかった。これはサブスクとか見放題システムが発達したので今後も利用はしないだろう。

映画の話に戻ろうか。

主人公である少年ドニーダーコは、空き家に放火して逮捕されたり、日本的に言うと道徳の授業で教師に正論のような屁理屈で歯向かってみたりといった少しの問題のある子だ。
心理カウンセリングも受けていて、精神安定剤を飲まされているような子だ。
家庭環境はさほぼ悪いとは思えない。
少し不謹慎寄りだがおおらかな父と問題行動を起こす息子を案じる母と浪人してハーバード大を目指すちょっとヘラってる姉と純粋無垢な妹と、ありがちな家庭だ。
食事も家族でとるし、ドニーの夢遊病よりな精神病と受験でイライラしている姉とのいざこざもあるが許容的な範囲だろう。

それで平平凡凡と過ごせればよかったのだけど、ある晩、ドニーの部屋に航空機のエンジンが落下する事故が起きた。
そこからドニーはおかしくなったと母が語るシーンがあったが、あの場面はいま思えば分岐点だったのかな。
ドニー自身は夢遊病のおかげでその晩は部屋に居らず、九死に一生を得る。
そして、学校へ行けば間一髪で助かったんだって?なんてすこしからかわれたりする。
そこに美人の転校生がやってきて…?
と、学園ものっぽい筋はあるんだが、それでも銀色のウサギは現れ続けて、あれやこれやと指示を出す。
ドニーは指示に従って、学校の水道管を破壊してみたり、自己啓発カウンセラーの家を放火してみたり、なんでこんなことさせるんだろう?
世界の終わりがくるとかいうし、銀色のウサギなんなんだ?
そこで存在を示し始めるのがタイムマシーンおよびタイムトラベルである。
この辺の絡みが良く分からなくて、ドニーはタイムトラベルを成功させてしまうんだけど、最後に死んじゃうんだよね。
あれなんだったんだ?
と、書いていた時点で気が付いた。
夢遊病?から目覚めたタイミングっていうのはタイムトラベルに成功した瞬間だったのか!?
そうすると話がすごいスムーズに行くな。
冒頭のシーンは、すべてを回避した世界なのかな?
でもやっぱり因果関係でどちらの被害はでてしまう、と。

タイムトラベルって誰もが一度はやろうとしたと思うんだけど、あの理論のなかのパラレルワールドというのがあるでしょう?
あのときにこういった選択をしたからいまの自分の世界がいるけど、あのとき別の選択をした自分がいる世界も存在していて、世界はパラレル・並行的に複数存在しているって。

行ってしまうとループものなんだな、これ。
で、家族が死ぬ世界と、恋人が死ぬ世界と、どちらもが生き残る世界を選ぶと自分が死んでしまう世界になるってことか。
ああ、なんて、そんな、酷い話だ。

でもよくよくできている。
うつくしいよな。
観てよかった。

前知識を積んだうえでもう一回観たいな。