取り戻せ語彙力

ちかごろ語彙力の低下を感じるためにリハビリと修行と暇つぶしと現実逃避のためにやってみんとしてするなり

実写映画「BLEACH」を観た。ネタバレも含めて感想を

こんばんは。
クソ暑い、ふざけるな、と言ってたところで台風が近づいてきて急に気温が下がって驚いている関東民がひとりです。

そういったところで、日ごろのあれやこれやで隙間があったので先日、映画「BLEACH」を観てまいりました。

結論から言うと面白かったです。
虚も原作以上に不気味に恐ろしく描かれていましたし、作中序盤のわけのわからない化け物の感じが良く出ていてよかったです。

小道具もちゃんとしていて特に死覇装なんかは和服の要素がモリモリなので、原作特有のOSR感が無くなりまして、ルキアの腰回りの太さに和装の良さを感じましたよね。道衣に帯に袴ですからシルエットがもっさりしていてすごく良かった。そもそもが着物を着るなら寸胴だ!という至言もあるようにスタンダートな死神像がスパッと説明された感じ。
それに比べると、白哉恋次のヤンキー感は演者の性質なのか服装の特異性ゆえなのか。特に白哉に関しては、サムライギタリスト・MIYAVIがなぜか抜擢されており、MIYAVIとして観るとすっげえカッコいいんですけど、原作準拠の白哉兄さま視点で観ると…ちょっとテンションが高いというか、人に興味を持ちすぎている感じがしてましたね。まあ、そこは切り離しておきましょう。
恋次はどっちかというと班目一角っぽいなぁ、と思ったんですけど初登場したころの恋次はこんなもんだったな、と腑に落ちました。

さて、本題に戻って。
やっぱりね、漫画の実写映画化なのですっごい不安だったですよね。
俺たちの青春の一部に食い込んでいるあのBLEACHがいったいどうなってしまうのか?!るろ剣銀魂の実写も評判は良いが観に行ってはいなかったので、でもやっぱりBLEACHですし、一護を演じるのはかの仮面ライダーフォーゼを演じた人気俳優・福士蒼汰くんということで、当時高校生くらいで仮面ライダーをやっていた彼もいまさら高校生役が回ってくるとは思っていなかったでしょうけど、ある意味で特撮出身なので期待できるだろうな、と観に行ったわけですよ。
満を持して、上映開始。
ここはね、原作準拠でヤンキーをしばく一護さんから始まるわけですけど、後姿ドーン!振り返りドーン!テロップドーン!

黒崎一護
髪の色:オレンジ
瞳の色:ブラウン
職業:高校生

もうね、瞬間的に思いましたね。
あ、BLEACHはじまったな、って。
漫画の実写化ってイケるんだな、と。

あとは前作一話をベースにルキア登場、職業:高校生・死神ってとんとん拍子に行きますよ。
ここまでの流れで惜しかったのは妹二人の夏梨と遊子。
あの子らって原作だとね、黒髪の夏梨とオレンジ髪(ググったら茶髪だった)の遊子っていう外見からして対照的な妹たちが描かれていたわけですけど、そこはバッサリとフツーの女の子二人でガッカリしました。
霊力高いのどっちだったけ?とちょっと忘れていた部分なんですけど、ここんところがちょっとわかりづらいというか、説明が無いんですよね。
一護が幽霊見えるんだから妹たちも当然見えるでしょ?って類推しなきゃいけないんかな。まあ大事な部分ではないけども。

んで、話としては原作としても結構なターニングポイントであるところのグランドフィッシャー戦までやるわけですが、ここでね、どうにかして話に混ぜ込みたかったのか、同級生の面々を結構頑張って詰めてくる。
石田なんかは続編があるとするとかなり重要ですから無理矢理に出してきて感がすごくてちょっとかわいそうですよ。序盤と終盤で弓を持っている手が変わっていた気もするし、あれは撮り方的にしょうがなかったのかな。原作もどっちの手でも打てたっけか?
この辺りは弓道警察の血が私に流れているのでちょっとうるさくなってしまうんですけど、あんまり大事なところではないのでこのくらいで。
ちなみに同級生陣で石田の次に掘り下げられたというか活躍したのはチャドです。
彼だけ留学生のマッチョマンみたいな活躍をするのでそこは少し笑えます。

それで頑張ってグランドフィッシャーを倒しちゃって、原作知ってる人からすると「え?倒しちゃうの??」という気持ちも出てくるのですが、まあそこはいいんです。退屈な修行描写とか入れて頑張ってきたんだから主人公が怪物をやっつけるのは物語の定番ですよ。王道ですよ。だからいいんです。

でもその先が蛇足というか、水増しというか、ね?
なんだかんだ今回の映画は「死神代行編」なので、おっそろしいことに、ルキア登場から尸魂界に強制送還までを108分に詰め込んでるんですよ。
原作だと1~8巻分ですよ。
それを2時間弱にまとめたんでそう考えるとかなりうまく詰め込んでるんですけど、残りの15分くらいがルキアを回収に来たお兄ちゃんとヤンキーとの一護とのボカスカなんですけど、ここだけ異常にテンポが悪いんですよね。
物語としてみると、大事な大事な別れのシーンですから時間をかけて丁寧にってことなんでしょうけど、ちょっとね、痛めつけられて起き上がるを繰り返しすぎて、ちょっと面白くなってくる。
お笑いで天丼ってのがありますけど、あの感覚がジワジワと。
一護が頑丈すぎるのと、恋次が弱すぎるのと、白哉に人間味がありすぎる感じがね。
逆にこの辺りのルキアさんは上手でした。

そうルキアなんですよね。
演者でちょっと気になったのは。
まあ織姫も一部が原作準拠じゃないんで、「これは織姫じゃないな、織平民だな」とか意味わからない思いもあったのですがこれは省きます。
ルキアだけちょっと子供すぎるというか、あの原作独特の古風な感じのセリフ回しとかが杉咲花さんに合ってなかったんでしょうね。
声質も高いし、現代人役ならば人間役ならばもっとスパッとはまったと思うんだけど、やっぱり難しい役なんでしょうね、死神的な時代劇的な存在感って。

そんなこんなでルキアいなくなって月島さんのおかげで人間どもの記憶はそこそこ吹っ飛んで、一護と石田のBL的なはじめまして!!などを挟んで劇終となります。
ノローグで、ルキアが淡々と語った後に「多分」と語っていたので、うまくいけば続編やるんでしょうけど。
その辺りどうなのだろうか。
私が観に行ったのは月曜の午前中だったのですがまあまあの空き具合だったので興行収入的には厳しいのでは…?
そもそもがBLEACH本編もそこそこ前に終わっていますから、いまのキッズがあんまり存在を知らないと思うんですよね。
そうなると狙いは我々アラサー世代と思ったんですけど、それもなかなか。
福士くん目当てで観に行く人はいるんだろうか、杉咲さんの人気はどれほどなんだろうか、キャスト目当てで集客はできているのか?
などと少し興行成績が心配になりましたね。

やたらと長くなりましたが、それはまあ意外とBLEACH愛が心根にあった証拠ということで目をつぶっていただきたい所存です。
ちなみにいちばん驚いたのは、父親役の江口洋介のやたらとくおりぃの高い演技でも、見た目完璧な田辺誠一の蒲原さんでも、すっげーかこいいエンディング曲を提供してくれた[ALEXANDROS]でもなく、ついに母親役をやるようになった長澤まさみさんでした。
いやあ同世代が母親役をやってしっかりハマる歳になってしまったかぁ、ってね。

実写映画「BLEACH」絶賛上映中です。